
イギリスと言えば、フットボールの母国だ。当然、蹴球放浪家・後藤健生も、何度も足を運んでいる。イングランド最北の地では、「フットボールの神髄」に触れることができた。
■東北部にある「3つ」の有名クラブ
『サッカー批評』のイングランド特集の取材で、イングランド東北部を訪れたときでした。
イングランドのいくつかのクラブを徹底取材することにしました。その取材対象の一つが、北部にあるサンダーランドでした。強豪ではありませんが、伝統の長いクラブで、最近新しくスタジアムを建設しました。そのあたりを取材するつもりで、クラブの役員から選手、監督、会長などにインタビューを行いました。
サンダーランドでは、かつて遠征してきたアウェーチームが必ず泊まっていたという、北海に面した「ローカーホテル」という小さなホテルに滞在。北部訛りの英語に苦戦しながらの取材でした。
イングランド東北部は「サッカーどころ」の一つで、有名なクラブが3つ存在します。
北からタイン川河口のニューカッスル。ウェア川河口のサンダーランド。ティーズ川河口のミドルスブラです。それぞれの川の上流には炭鉱があり、英国の産業革命を支えていました。かつてはその炭鉱で働いている労働者たちが、石炭積み出し港でもある河口の街のクラブを熱心にサポートしていたのです。
ヨーロッパでは炭鉱地帯には、熱狂的なサポーターを持つクラブがたくさんあります。
しかし、20世紀後半になると炭鉱業は衰退し、河口の街の造船業も日本や韓国との競争に敗れてなくなりました。そのため、こうした街々は今では商業や情報産業に転換しながら生き残りを図っているのです。サンダーランドには、日産自動車の工場があります。