■「オニさんが自分をサイドで使う時は…」

 それでも何とか失点をせずにゲームを運んだが、前半は低調な内容が続く。そんな彼らに追い打ちをかけたのが、アディショナルタイムの失点だった。相手守護神・西川周作のロングフィードを金子拓郎に競られ、右サイドを駆け上がってきた関根貴大が入れてきたクロスを松本泰志が押し込むという形で、鹿島の守備組織には明らかに穴ができていた。
 国内7冠の名将・鬼木達監督もこのままでいいとは思っていなかった。後半立ち上がりは少し様子を見ていたが、10分過ぎに3枚替えを断行。知念慶、師岡柊生、チャヴリッチを投入し、鈴木優磨を左サイドに回すという思い切った采配を見せる。
「オニさんが自分をサイドで使う時は1個、起点が欲しい時。相手の(対面の)関根選手は本職じゃないし、そこを起点に押し込む形がほしかったんだと思う」と背番号40は語り、積極的にボールを触ったが、浦和の守備ブロックを崩すには至らなかった。
 そこで鬼木監督は舩橋佑、徳田誉という若手を次々と投入。終盤には奇策にも打って出る。知念が負傷したこともあって、鈴木優磨をボランチに下げ、知念を最前線へ。彼と徳田を2トップにし、チャヴリッチを左に回すというこれまで一度もやったことのない形にシフト。強引に1点をもぎ取ろうとした。

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