■10秒15秒では「きかない」ゴールキック

 ただ残念ながら、これによって「アクチュアル・プレーイングタイム」が増えるわけではない。「アクチュアル・プレーイングタイム」とは、大ざっぱに言えば、90分間プラス前後半のアディショナルタイムの合計試合時間から、ボールが周囲のラインを出てリスタートされるまでの時間と、ファウルなどで主審が笛を吹いてプレーを止めてからリスタートされるまでの時間を差し引いたものであり、GKのボールをキャッチしたまま寝そべっているような時間は、これまでも「アクチュアル・プレーイングタイム」に含まれているからだ。

 一方で、近年のGKには、より大きな「時間の空費」がある。ゴールキックである。2018/19までのルールでは、ゴールキックはペナルティーエリアを出るまでインプレーにならなかったが、2019年の改正で「明らかに動いたとき」にインプレーになることになった。その結果、ペナルティーエリア内、ゴールエリアのすぐ外にディフェンダーが立ち、ゴールキックを受けて、そこからビルドアップするチームが増えた。

 最近のJリーグの試合を見ていると、こんなシーンによく出くわす。GKがゴールエリアの角にボールを置くと、2人のセンターバックがゴールエリアの両外に立ち、ゴールキックを受ける形をとる。しかし、相手がそれにプレッシャーをかけようとペナルティーエリアのすぐ外で待ち構えていると、GKはしばらく様子を見て、蹴る方向を変える様子などを見せて相手をけん制した後、短くつなぐのをやめ、2人のセンターバックに上がれと指示するのである。

 そしてセンターバックがペナルティーエリアから出てハーフラインぐらいまで上がっていくと、GKはおもむろにゴールラインまで下がり、そこから助走して大きなキックを送るのである。この間に何秒が空費されているだろうか。おそらく、10秒、15秒ではきかないだろう。

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