日本で最初に試すのは「浦和レッズと西川周作」、Jリーグで増えた「より大きな時間を空費する」プレー【ルール改正「ゴールキーパー8秒ルール」でサッカーはどう変わる】(3)の画像
新ルールを日本で最初に試すのは、浦和レッズのGK西川周作になりそうだ。どのように対処してくるのか、見逃せない。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 今年、サッカーのルールが変更されることになった。これまでも何度も改正されているゴールキーパー(以降、GK)に関するルールだが、新たなルールはサッカーという競技を、どのような方向へと導いていくのか? サッカージャーナリスト大住良之が「8秒ルール」を検証する!

■リード後は「起き上がらない」傾向も

 大変なのは浦和レッズである。IFABは6月14日に開幕する「FIFAクラブワールドカップ2025」で新ルールが使われることを明らかにしているからだ。西川周作はプレーが遅いタイプのGKではないが、リードした後には、ボールをつかんだまま、なかなか起き上がらないという傾向も見られる。

 大会前には公式戦で新ルールを経験することはできない(参加全クラブのGKが同じだが)ので、練習試合、あるいは練習の中でスムーズに味方にリリースするトレーニングを積むしかない。

 さらに、世界のサッカーの中では長身選手が少ない部類に属する日本のチームは、相手のコーナーキックが増えるのは不利な状況となるので、GKのプレーはより慎重にならざるをえない。たとえば日本代表がオーストラリア代表と対戦するときに、このルールでコーナーキックを与えてしまったときの「ピンチ感」を想像してみてほしい。

 ただ、「8秒ルール」が試合をスピードアップさせるのは間違いない。主審にかかる負荷が増えるという懸念はある。「カウントダウン」をいつ始め、どうカウントするか、しっかりとしたガイドラインも必要になる。しかし、「エンターテインメント」という面を考えれば、この新ルールは悪くはない。

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