■完全に「受け身」になったイラン

 これほど数字が開いたのは、日本選手のパス能力の高さだ。

 正確にボールを蹴ることだけではない。パスを受ける瞬間に正しい方向に体を向け、ボールを扱いやすいところに正確にボールを置く。これで、イランの選手がプレッシャーをかけられなくなってしまったのだ。さらに、受けたボールを自然につなぐだけでなく、時には切り返して逆方向にパスをつないだり、いきなり前線にロングボールを出すなど意外性も十分だった。

 こうしてイランは完全に受け身になり、ただただ蹴り返すだけという時間が長くなった。

 ただ、残念なのはこれだけの内容の試合をしながら先制ゴールを奪われたことと、同点とした後、多くのチャンスがありながら決勝点を決められなかったことだ。

 先制されたのは前半5分。パスを受けた小倉幸成がイラン選手に囲まれてボールを奪われ、エスマイル・ゴリザデーがゴール前に運んでレザ・ガンディプールとパス交換。オフサイドに見えた瞬間もあったが、日本のDFに当たったためか、そのままプレーは続行。最後はガンディプールに決められた。

 この場面だけではない。3分にはスローインからマハン・サデギにきわどいシュートを撃たれ、9分にも左サイドバック髙橋仁胡の頭上を狙われて危ない場面を作られた。

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