後藤健生の「蹴球放浪記」第253回「45年ぶりの落馬洲から深セン入り」の巻(2)風間八宏ら日本代表が初めて「アジアのライバル」を上回った転換点、丘の上から覗いた「未知の国」中国の画像
香港で行われたスペイン・ワールドカップのアジア1次予選で、華麗なテクニックでアジアのライバルを圧倒した元日本代表の風間八宏(右)。撮影/原壮史(Sony α‐1)

 サッカーU-20日本代表が現在、U20アジアカップを戦っている。2月20日にはグループステージ最終節を戦い、韓国代表とドロー。準々決勝進出を決めた。蹴球放浪家・後藤健生は現在、取材のために現地入りしている。会場の深センは、45年前にも訪れた思い出の地だ。

■「テクニック」で中国や北朝鮮を圧倒

 1980年の12月から81年1月にかけて、香港でスペイン・ワールドカップのアジア1次予選が行われました。ソウル・オリンピック予選に敗れた日本は大幅に若返り、20歳前後のテクニカルな選手を揃えました。

 中盤には風間八宏、戸塚哲也、金田喜稔、ウィングに木村和司、サイドバックが都並敏史という豪華メンバーでした。彼らはテクニック面で中国や北朝鮮を上回り、素晴らしいサッカーを展開したのですが、残念ながら決定力不足で敗退してしまいました。しかし、日本のサッカーが初めてテクニックの部分でアジアのライバルを上回った歴史的な転換点となる大会でした。

 その大会期間中の試合のない日に、僕はこの落馬洲までやって来たのです。もちろん地下鉄は走っていません。わざわざバスを乗り継いで、長い時間をかけて辿り着きました。

 目的は、中国本土を覗くことです。

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