■清水の今後の懸念は開幕戦で完封した守備か

 もう一つの勝者チーム、清水エスパルスは「メンバーが変わっても“オリジナル10”のプライドを持って戦っており、2023年にJ1昇格プレーオフ決勝での敗戦も考慮したようなメンバー構成に見えました」。
 東京ヴェルディに1-0で勝利したが、「勝敗を分けたのはちょっとした差。昨年、東京Vは“周囲の評判を覆してやろう”という気持ちを持って戦っているように見えましたが、昨年は6位という好順位になったこともあって、それも周りからの目も変化したのかなと。開幕戦に関して言えば、清水の気持ちが強いように感じましたし、その結果、得点シーンも一発をモノにした形でしたね」と振り返る。
 そのゴール場面はCBの蓮川壮大から右サイドを上がった高木践にロングフィードを通したところから、北川航也がクロスを決めたもの。このゴールについて、「高木の身体能力を生かしたもので、それがあって、右サイドで起用したのでは」と推測する。
「この試合でも右サイドバックと左CBの両方を務めていて、ベンチにさまざまな選択肢を与えたと思います。そういう選手がいることで柔軟に戦えますし、プランもさまざまに立てられる」
 北川航也、乾貴士、カピシャーバと力のある選手が前線にいることで攻撃は今後も通用すると思われるというが、懸念は守備だという。この日は完封勝利を収めたが、「ボールを保持して崩せるチームと対戦したときにどのような守備で挑むのか。開幕戦はいい方向に行きましたけど、今後の対戦相手はそこを研究してくると思います」と話す。
(語り:二階堂悠)

【にかいどう・ゆう】
1984年5月17日生まれ。宮城県出身。筑波大学大学院卒業後にメキシコ留学を経て、杭州緑城(中国)のコーチに就任。2014年からモンテディオ山形のコーチ、2017年から川崎フロンターレのコーチを務めた。川崎ではクラブの国内7冠達成に寄与し、24年シーズンを持って同職を退任した。

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2