■何度も重ねた「悔しい」という言葉
C大阪の下部組織からトップチームに昇格した中島だが、昨年までの3年間を杜の都で過ごした。選手としても人間としても飛躍を遂げさせてくれた特別な街。
その“本気の時間”を「すごく充実した3年間を過ごせた」と振り返ると、サポーターに対しては「お父さん・お母さんのような温かみを持って接してくれました。そういう意味では恩返しできたかな。それがとても嬉しい」と言葉にする。
特別な時間を過ごしたからこそ、その成長をC大阪に還元しなければいけないと感じている。下部組織からトップチームに昇格した生え抜きとして、桜のエンブレムには並々ならぬ思いがある。
「自分もそうですけど、(北野)颯太らも含め、アカデミー育ちの選手が自分たちの世代として引っ張っていけたら」
そう言葉にするのだ。
年齢で言えば5個下の北野がこの試合で先発し、先制点と一時勝ち越し弾という価値ある2つのゴールを決めていた。
「颯太が活躍して、悔しかった」
強い気持ちを常にあふれさせるのは、中島の魅力である。セレッソ大阪を勝たせたい。その思いがあればこそ、悔しさが生まれてくる。
「(ゴールを決めて)ほっとした部分はすごくありますけど、悔しい部分の方が大きかった」
悔しいという言葉を、ミックスゾーンで何度も何度も重ねた――。
(取材・文/中地拓也)
(後編へ続く)