■サッカーはクリケットの「冬季トレーニング」

 話は19世紀前半にさかのぼる。1820年、シェフィールド市の6人の商人がクリケットクラブをつくった。この頃、商店は「水曜休み」が多く、水曜日にプレーできる同志を集めてのクラブ創設だった。当時シェフィールドは北部イングランドのクリケットの中心都市で、「ザ・ウェンズデイ」も強豪のひとつとなっていった。

 1867年、そのクリケットクラブがサッカークラブを創設する。クリケットは夏季限定の競技なので、冬季のトレーニングにサッカー(フットボール)を採り入れるためだった。これが「シェフィールド・ウェンズデイFC」である。

 イングランドでは、「ロンドン目線」でこの地域を「北部」と呼んでいるが、実際にはブリテン島のちょうど中央部にあるヨークシャー。シェフィールドは7つの丘に囲まれた盆地のような場所にあたる。「シェフィールド」の地名は、町の中央を流れる(現在は都市部は地下水路になっているが…)「シーフ川」のほとりに拓かれた町を意味するという。「sheffield」と「f」が重なるスペルになっている(Shef=シーフ川 field=平地)のは、そのためだ。(2)に続く。

(2)へ続く
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