【川崎・長谷部監督、初陣勝利の裏側。未勝利の地で勝敗を分けたものとは(1)】初公式戦メンバー11人を送り込むも、交代2人は“想定外”含み。HTに自らピッチに出て選手を呼ぶ咄嗟の判断が結果招くの画像
ACLE浦項スティーラースとの試合でゴールを決めて喜ぶ川崎フロンターレの脇坂泰斗 撮影:中地拓也
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「ソウ! 早く、早く!」

 ピッチに長谷部茂利監督の大きな声がこだましたのは、ハーフタイムのことだった。2025年2月11日に実施された川崎フロンターレと浦項スティーラースとのACLE第7節で、一度はロッカールームに入ったものの、自ら急ぎ足でピッチに戻ってきての行動である。

 何かがあったことは明白だった。ただし、そもそも試合前から波乱含みではあった
 始動日から35日間という短い期間でイチからチーム作りを進めたチームの初戦が、海外でのアウェイゲーム。難しい一戦となることは誰もが心に秘めていたが、さらに、浦項とのアウェイゲームはJリーグ勢が勝利したことがないという鬼門のカードである。加えて、いてつく寒さと凍ってしまってコンクリートのように硬いピッチも障壁となる。初公式戦を前に、長谷部監督の言葉数が少なくなるのも仕方のないことだった。
 数々の難しい条件で迎えたこの試合の序盤、川崎は手堅い戦い方を強いられる。狙ってブロックを敷いた部分もあるが、相手の強い圧力に苦しんだ場面もあるからだ。そんな中で前半38分に先制すると、43分にはホームチームに退場者が出る。
 先制したうえでの数的優位――。
 手放しで喜ぶべき展開と言えるが、長谷部監督の頭の中ではアラートが鳴っていたようだ。だからこそ、冒頭に書いたようにハーフタイムに指揮官は自らピッチに顔を出して、ウォーミングアップをする河原創を呼んだ。そして後半のアタマに、橘田健人に変えて河原を送り込んでいる。

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