■ハーフタイムで早くも交代

 長谷部監督のアラートを発動させたものは何だったのか。試合後、その交代の意図を指揮官に聞いたことで理由が分かった。
 前半31分に橘田健人はイエローカードをもらっていた。浦項戦の最初の45分で出たイエローカードの枚数は4枚で、そのうちの2枚は浦項DFジョナサン・アスプロポタミティスへのものだった。
 赤につながるイエローカードであってもこの日の主審は躊躇なく出す。仮に後半、それが川崎へ向けられれば、“鬼門のスタジアム”で流れは一気に傾くことになる。
「(橘田の)プレーが悪かったのではなく、橘田がイエローカードをもらっていたので私の判断で2枚目を引かないように。2枚目は個人ではなくチームで引くことになります。つまりレッドカードになるので、(本人に)話をして交代しました」
 橘田と河原の交代について聞いた筆者の質問に、長谷部監督はこう答えている。ハーフタイムの途中にロッカールームからピッチに出てきた経緯も併せ、咄嗟の判断だったようだが、それが吉と出る。川崎は後半にイエローカードを一枚も受けないことが徹底されており、その中で数的優位を生かして着実に得点を重ねていった。有利さを逆の立場で考えたからこそ招いた結果だった。

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