■中東のオイルマネーは「規制外」
前述した「三笘の市場価格4500万ユーロ」は、こうしたクラブの通常の収益のなかでまかなわれるべきもので、日本のサッカー市場と比較すると、信じがたい金額に見えるかもしれないし、欧州の移籍市場が10年前と比較すると急カーブで高騰しているとはいえ、それぞれのクラブの収益に見合ったものとなっているはずだ。それを逸脱すれば、欧州サッカー連盟から「ファイナンシャル・フェアプレー」のルールに反するものとして処罰を受ける。
しかし、サウジアラビアのクラブはその規制外にあり、しかも資金はクラブの収益に無関係に実質上国庫(=オイルマネー)から支出される。「市場価格」を大きく上回る移籍金に魅せられて欧州のクラブがスターを手放し、また高い年俸にひかれてたくさんのスター選手がサウジアラビアのクラブに移籍した。活躍している選手もたくさんいる。しかし、砂漠の国という過酷な環境と、代表選手への道が遠ざかることを懸念している選手も少なくない。(3)に続く。