■常勝・鹿島の復活を担う「最高の人事」
4バックを選択したのには、もう一つの理由がある。左サイドバック(以後SB)の大森渚生の存在だ。栃木SCから今季加入した大森は、SBとしての攻撃と守備の上下動をこなして、クロスボールの正確さは見るべきものがあった。彼ら以外にもサイドハーフの山本隼大、センターバック(以後CB)の牛澤健、FW久保征一郎などプロになって2、3年目の選手が台頭してきている。
一方、鹿島アントラーズは、今季から鬼木達を監督に招聘した。川崎フロンターレでの実績を見れば、「常勝」と言われた鹿島の復活を担うべき最高の監督人事だといえる。選手層も昨シーズンから比べてアップしている。 セレッソ大阪でシーズン21得点を記録したレオ・セアラを補強して、得点力アップを狙う。FC東京から荒木遼太郎をレンタルバックさせる。また、小池龍太や松村優太などの新加入や復帰組を加入させて戦力アップをしている。
しかし、対水戸戦だけを見れば、レオ・セアラはゲームから消えていた。まったくフィットしていなかった。右サイドの荒木は攻撃の起点にはなっていたのだが、前半を見れば、全体として昨年の鹿島の戦い方を踏襲しているように映った。しかし、後半の終盤になって小池と樋口雄太がピッチに入ってから、新しい鹿島の戦い方が顔を出す。特に、右サイドの狭いエリアの中で壁パスを使ってゴールラインからマイナスのパスを出した場面は、昨年までの鹿島にはなかった攻撃である。鬼木監督が目指すサッカーの片鱗が見られた。
守備に関しては、ボールへの寄せの甘さが目立った。特に、CHの柴崎岳はもっと激しくプレスに行ってもいい場面があった。さらに、CBの関川郁万はボールウォッチャーになりがちで、マークを外す場面が何度か見られた。
ここからは、時間経過に従って具体的な場面を指摘しながら話を進めたい。参考とする映像は、鹿島の公式ホームページにある以下のところである。
https://www.antlers.co.jp/games/53735
(2)に続く。