■マルシーニョが早くも見せた可能性

 長谷部監督の説明には、さらに言葉と想いが加わる。
「だから、なるべくプレーさせたいし、自分も見たい。“このポジションちょっと苦手なのかな?”、“そうでもなかったな”っていうのもありますし、“けっこうできるな”とか、そういう発見が意外とあります」
 そして、24日に行われたJ3八戸戦での起用についても、自ら選手の名前を挙げて目を細める。
「昨日で言うと、2本目の5分間だけですけど、マルシーニョが右のサイドで出ました。1本目も少し右に出てましたけど、流れの中では基本的に左。(マルシーニョは)左の印象が多分皆さんも強いと思いますけど、右もちょっと見てみたいと思っていた中でスムーズにいってましたね。
 パスして受けて走って、最後、ペナルティに入っていって。5分だけでしたけども、ああいうプレーもできるんだなっていうことが分かりました。そういうのも発見だし、本人も、“いや、俺できるよ”みたいな」
 詳細は書かないが、少し解説を付け加えたい。1本目に左で出たマルシーニョは、その45分の中で2度、右サイドの選手とポジション交換をしていた。つまり、左→右→左→右と、プレーポジションを変えていたのだ。
 そして、2本目の冒頭5分だけ右サイドでプレーすると、他の選手と交代してベンチに下がっている。5分だけの起用はどのような意図があるのかと考えていたが、さまざまな可能性を模索するための時間だったのである。
「だから、チャンスがあったらそういうことを考えていきたいなと思っています」
 そう話す指揮官の目は、探求心に満ちていた。

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