「え?」
筆者が思わず驚いたのは1月21日の午前11時だった。沖縄県恩納村にある赤間総合運動公園のピッチの上で行われたトレーニングマッチにおいて、川崎フロンターレは4バックの布陣を敷いていたからだ。
長谷部茂利監督の下で川崎は3バックの採用があるのではないか――。
そう予想する声も多かった中で、ついに迎えた長谷部フロンターレの公開された中においての“初陣”。トレーニングマッチとはいえ、その戦い方は注目を集めていた。
ちなみに筆者も3バックでの戦い方もあると考えていたため、システム変更の可能性を指揮官に聞いたのはチーム始動日の麻生グラウンドでのことだった。
「変更も自分の中では一つの選択肢だと思ってます」
明確に肯定もせず、かといって否定もしていなかったが、長谷部茂利監督はこの時点ですでに決めていたのかもしれない。というのも、2日間・3チームとのトレーニングマッチを実際に見て、そして、25日に長谷部監督に聞いた話を合わせれば、そう感じざるを得ないからだ。
始動日での質問に答えなかったのは、その時点で選手にシステムなどの説明をしていなかったからではないか。“順を踏むべき”というその実直な性格が、その事柄にも表れていた。