■基本的には歓迎すべき「黒船の襲来」

 大宮が成功し、レッドブル・グループが「日本のクラブへの投資は利益を生む」ということを証明してくれれば、中東マネーやアメリカの投資ファンドなどもJリーグに価値を見出だしてくれるかもしれない。サッカーだけでない。プロ野球(NPB)やバスケットボール(Bリーグ)など他の競技に目が向けられるかもしれない(NPBもBリーグも、Jリーグと違って規約で外資を規制しているようだが)。

 経済面で「失われた30年」といわれるが、この30年間に日本のスポーツは急速な発展を遂げた。サッカーでは、かつては「夢」だったワールドカップ出場は当たり前となり、近い将来には日本代表が上位進出する姿が見られることだろう。ヨーロッパのトップクラブで活躍する日本人選手もさらに増えていくはずだ。

 野球界でも、30年前といえば野茂英雄が大リーグ(MLB)に挑戦した頃だ。「バッターは無理だ」とも言われたが、その後、イチローが大活躍し、そして今では、大谷翔平という選手が世界最高のベースボール・プレーヤーとなって、誰もが想像できなかったような活躍をしている。バスケットボールでも、次々とNBAでプレーする選手が現われている。

 今後は、日本国内のクラブが財政力を高めて、クラブやリーグの価値を高めていくべきなのだ。

 もちろん、外資に牛耳られてはいけないから、Jリーグや日本サッカー協会によるコントロールは必要だが、レッドブル・グループという“黒船”の襲来は基本的には歓迎すべきことなのではないだろうか?

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