発足後30年間で開いた「欧州との格差」、想像できなかった「大谷翔平の活躍」とJリーグで「世界を経験する」ために必要なこと【RB大宮アルディージャが「日本サッカー」を変える】(3)の画像
J3で優勝し、1年でのJ2復帰を果たしたRB大宮アルディージャ。今後の日本スポーツ界の「台風の目」となるか。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 開幕に向けて、各クラブが活動を開始したJリーグ。監督交代や新戦力など、各チームに動きがある中、サッカージャーナリスト後藤健生が注目するのは、J2のRB大宮アルディージャだ。日本のクラブ史上初となる「試み」がなされた大宮は今後、どのような「進化」を遂げるのか? 日本サッカー界、ひいては日本スポーツ界の「黒船」となりうる話題チームの「動向」!

■「世界最高のリーグ」としての地位を確立

 アメリカでは、プロ・スポーツというのはもともと投資の対象であり、そうしたファンドがヨーロッパのサッカー・クラブに目をつけはじめたのだ。

 その最たるものが、1992年にプレミアリーグを発足させたイングランドだった。

 1980年代まで、スタジアムが老朽化し、フーリガンが暴れまわっていたイングランド。サッカー場は危険で汚い、とても家族連れが訪れたいと思えないような世界だった。だが、スタジアムの多くが改築され、テレビマネーの導入でクラブ経営は改善されていった。そこに、多額の資金が流入することによって、プレミアリーグはすぐに世界最高のリーグとしての地位を確立した。

 あるいは、やはりスタジアムの近代化をすませたドイツ・ブンデスリーガも、観客動員数を急増させる。

 一方、こうした流れに乗り遅れたのがイタリア・セリエAで、かつてはヨーロッパのカップ戦でタイトルを独占することもあったイタリアのクラブの競技力は急速に落ちていった。

 そして、ヨーロッパのクラブとJリーグ・クラブの経営規模は、大きく離れてしまったのだ。

 こうして、Jリーグ発足後の30年間でヨーロッパとの間の競技力の差は縮まったものの、財政力の格差は逆に大きく開いてしまったのだ。

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