■「驚くべき施設」にして「無駄な空間」?
全面をスタンドが取り囲んでいるので、非公開にするときには便利でしょうし、練習試合をスタンドから観戦することもできるので、練習場としての使い勝手は悪くないのかもしれません。
25万人収容といっても大半は立見席でしたから、スタンドは高くそびえているわけではありませんが、なにしろ300メートル×200メートルという大きさです。他に見たこともないような、驚くべき施設でした。
それにしても「無駄な空間」でもあります。
世界にはリオデジャネイロのマラカナン(現在の収容力は7万8000人、1950年ワールドカップでは20万人以上が入場した)とか、バルセロナのカンプノウ(9万9000人)とか、メルボルンのメルボルン・クリケットグラウンド(MCG、10万人)のような巨大スタジアムがたくさんあります。
しかし、これらのスタジアムではしょっちゅう満員に近い観客が入るイベントがあります。十分に活用さえされていれば、たとえ経営的に赤字であったとしても、それは無駄ではなく「社会的コスト」と呼べるでしょう。
しかし、「ストラホフ・スタジアム」の場合は、おそらく1920年代にも満員になることはほとんどなかったはずです。おそろしく無駄な建築物を造ったものですね。