蹴球放浪家・後藤健生は、世界でさまざまなものを目にしてきた。中には、想像を超えるものもあった。2003年にバロンドールを受賞した元ユベントス副会長、パベル・ネドベドが育った祖国のチーム、スパルタ・プラハには、25万人を収容できる「巨大サッカー場」があった!
■使い道がなくなった「巨大スタジアム」
第2次世界大戦末期、チェコなど中部ヨーロッパはソ連軍の占領下に置かれ、戦争が終わると共産主義政権が樹立されます。ソ連の傀儡政権です。
そして、共産党政権の下では「スパルタキアード」と呼ばれるスポーツの祭典が行われました。日本の国民体育大会(現、国民スポーツ大会)のようなものですが、共産主義政権の威信を示すためのマスゲームも盛大に行われました。共産政権時代、「ストラホフ・スタジアム」は、そのための恰好な場所を提供してくれたのです。
しかし、共産党政権も倒れると、次第にこの巨大なスタジアムは使い道がなくなってしまいました。1990年にローリングストーンズのコンサートが行われて、10万人が集まったそうですが、その後は取り壊しも検討された。しかし、2003年にスパルタ・プラハの練習施設になったそうです。