■「監督交代はいつだって難しいです」
川崎フロンターレは昨年まで8年間を鬼木達監督の下で過ごしてきた。監督交代に慣れていない選手も多いが、「監督交代はいつだって難しいです」と中村氏が話すように、長期政権であっても短期政権であっても、そこには乗り越えなければいけないものがある。そんな難しさを前にしても、このバンディエラは胸を高鳴らせる。
「(難しさと)同時に期待感やワクワクっていうのがこの時期には当然あります。これまでやってきたものが色濃く残った状態でやっぱり新監督1年目を戦うことになるので、長谷部さんも多分そこのギャップのところと、これまでやってきた長谷部さんのいいところをやっぱり融合したいというふうに思っていると思います。そこにネガティブなことは僕はないかなと思います。
みんながすごくチャレンジしていることは麻生の練習を見ててもそう思いましたし、それに沿って練習をやってると思いますし、今日のゲームでもそういう姿勢は見えているので。みんな前を向いて、どんどんトライしてるなって思います」
外から見ていても、鬼木達監督と長谷部茂利監督の練習がまったく異なることは分かる。とはいえ、指導者100人がいれば、当然、そのやり方は100通りある。正解も不正解もない。そんな進化過程にあるチームのトレーニング姿を見て、中村氏はこう感想を口にする。
「(始動からここまで)全部、ゲーム繋がるような練習の内容だと思いました。ぶつ切りじゃないなってすごく感じています。長谷部さんもそこをちゃんと選手に伝えてるんだなって。
最初はスモールのところから、(次の練習では)ユニットになって、(その後)グループでチームでっていう段階を踏んでトレーニングになってるんで。特に守備面のところはすごく気を遣っていると思いますし、その効果は今日のこのトレーニングマッチでも随所に出ていました」
新たな一歩を踏むチームを見つめる中村氏の眼差しは、とても暖かった。
(取材・文/中地拓也)
(後編に続く)