■プロ3年目の溝口修平が安西の好敵手に
左SBは安西幸輝がファーストチョイスだが、プロ3年目の溝口修平も伸びてきていて、安西の好敵手になるかもしれない。鬼木監督は練習試合で溝口を右MFでもトライしていて、旗手怜央(セルティック)のように多彩なポジションで使うことを視野に入れている様子だった。そういうマルチ能力を備えた若手をうまく使っていくことも、今季の鹿島の1つのテーマと言えそうだ。
そしてCBも昨季は植田直通と関川郁万の2人に依存していたが、左利きの大型DFキム・テヒョンの加入によって、状況は大きく変わるだろう。練習試合1本目に出た彼は植田とコンビを組んだが、鬼木監督が求める丁寧なボール扱い、パスの出し入れ、ビルドアップができる人材だということをしっかりと示した。となれば、関川にとってはかなりのライバルになる。
植田はチームリーダーの1人ということで、なかなか下げづらい存在だが、キム・テヒョンがいれば、植田を休ませることも可能になる。植田・キム・テヒョン、関川・キム・テヒョンという新たなコンビを確立させておくことで、多彩な戦い方が可能になる。それを宮崎キャンプで突き詰めていくのではないか。
GKに関しては昨季と陣容が同じということで、早川友基を軸に、山田大樹、梶川裕嗣、パク・ウィジョンがしのぎを削るという構図が続くきそうだ。
このように今季の鹿島はバランスのいい編成が実現した。ケガ人が出るなどのアクシデントが起きなければ、鬼木監督もある程度、選手層を保ちながらシーズンを戦えるのではないか。そのうえで、勝ち点にこだわる集団を築き上げ、かつてのしぶとさ、タフさを取り戻せれば、本当にタイトル奪還も見えてくるかもしれない。宮崎キャンプの動向が今から大いに気になるところだ。
(取材・文/元川悦子)