■岡山のJ1・1年目を背負う岩渕弘人
そしてJ1昇格1年目の岡山では、2024年J2・13ゴールでチーム最多得点者となった岩渕弘人が最も気になるアタッカーだ。
岩渕は仙台大学時代は松尾佑介(浦和)と同期。横浜FCから浦和へステップアップした松尾よりは少し時間がかかったが、彼もいわきFC入りしてJFL、J3、J2と着実にカテゴリーを上げて、最高峰リーグをつかみ取った。
「2020年にプロになった時はこうやってJ2でプレーできるとは夢にも思っていなかった。毎年毎年、そのカテゴリーで結果を出すことしか考えてなかった。それでJFLからJ3、J2へと上がってこれた。これからも謙虚にやっていきたいと思います」と本人も昨季終盤に謙虚な姿勢を示していたが、その真摯な姿勢があったから、ここまでの劇的な成長曲線を描けたのだろう。
「岩渕は本当に賢い選手で、我々のやりたいこと、自分のできることの理解度が非常に高かった。2024年の開幕後、すぐ中心になったものの、序盤はチャンスを決め切れないことも多かった。本人にも焦りがあったと思います。そこで彼はゴールを取るために必要なことを考え、落ち着きやサボらないといったことを続け、修正していった。取るべき部分が研ぎ澄まされたと感じています」
木山隆之監督も太鼓判を押す男がJ1でどこまでブレイクできるか。そこに岡山の命運がかかっていると言ってもいいほどだ。岡山が台風の目になってくれれば、J1も確実に盛り上がる。彼らにはぜひともサプライズを与えてもらいたい。
(取材・文/元川悦子)