■タイトルのための失点減
だからこそ、失点を減らす努力をしなければいけない。2023年の広島は・総失点28で、失点数はリーグ最少だった。けれども24年はまさかの43失点。3失点以上しているゲームが6試合もあり、「守りが一度、崩れ始めると立て続けに点を取られてしまう」といった傾向が顕著だった。
広島の場合、序盤からボールを保持し、主導権を握りながら敵陣深いところまで攻め込むスタイルを採っているが、それを徹底研究され、カウンターを食らう場面が目についた。そこで中途半端に保持せずに、フィニッシュまで持ち込んで試合の流れを切るようにしていくことが肝要だ。そういった修正も来季のテーマになってくる。
ゴールマウスを守る日本代表守護神・大迫敬介の能力の高さは誰もが認めるところだし、佐々木翔・荒木隼人・塩谷司、あるいは中野の3バックもJリーグ屈指の個人能力を誇る。ただ、彼らも上がってしまう分、リスク管理がどうしても手薄になりがちだ。しかも塩谷は36歳、佐々木が35歳と年齢層も上がっている。となれば、夏場の体力低下やケガのリスクも上がる。彼らに依存しない守備組織構築も2025年の大きなポイントになってきそうだ。
昨夏にザルツブルクへ赴いた川村拓夢のように、広島は若くて有望な人材が少なくない。中野を筆頭に、今季やや停滞した満田誠、中島洋太朗、井上愛簾ら将来性ある10代のタレントもいる。彼らが次の夏に引き抜かれないとも限らないだけに、何が起きてもいいような準備をシーズン頭から進めておくことも大切だ。それは現場のみならず、クラブ全体の課題。いずれにしても、スキッベ体制4年目の25年のタイトル獲得はマスト。そのために失点減、選手層アップは絶対にやらなければいけないはずだ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)