■選手寿命「短命化」のリスクに直面
だが、大きな問題がある。欧州のトップクラブの選手たちの多くが、クラブだけで年間50を超える試合をこなし、そのうえ、それぞれの代表チームの試合にも参加しているからだ。新しいFIFAクラブワールドカップ(以降=FCWC)が始まる前の現時点で、すでに「過重労働」であり、選手たちは蓄積した疲労によるパフォーマンスの低下、ケガとそれに伴う選手寿命の短命化というリスクに直面している。
サッカー選手には本来のリズムがある。試合は週1試合、シーズンは最長10か月。選手として健康に過ごすには、毎年2か月間はオフをとらなければならない―。だが、現在のトップクラスのサッカーでそんな状態は「夢物語」だ。選手たちは頻繁に「週2試合」を強いられ、シーズンオフを取ることもままならない状態にある。
すべてのサッカーのベースとして、国内リーグがある。「秋春制」をとる欧州の大半の国の日程をざっと見ると、8月に開幕し、翌年5月に閉幕する10か月が「サッカーシーズン」である。国内リーグの試合数は34~38試合程度。ここにカップ戦(多くの国で2つのカップ戦がある)が加わる。
さらに各国リーグ上位のクラブには、基本的にウイークデーを使って欧州のカップ戦(チャンピオンズリーグなど)が入る。これもシーズンは8月から5月である。
これらの「クラブ日程」を縫うように、代表チームの活動が入れられている。原則として3月、6月、9月、10月、11月の5か月に各9日間(2試合分)。欧州のトップリーグのトップクラブ(ほとんどが欧州のカップ戦に出場している)の多くが代表選手であり、これに参加することになる。