■デビューからわずか4分での大仕事
切り返しから利き足の右足で持ち直す時間はない。体を強引に捻って左足を振り抜き、自らは体勢を崩してその場に転倒しながら絶妙のパスを中央へ送る。相手ディフェンダーの前へ走り込み、左足を合わせた山田は実は異なる絵を描いていた。
「(神田)奏真がシュートを打つと思って、ボールがこぼれてきそうなところへ入っていったんですけど。本当にいいボールがきたので感謝したいですね」
高温多湿の敵地タイへ乗り込んだ、11月26日のブリーラム・ユナイテッドとの前節。アディショナルタイムの93分に投入され、長く待ち焦がれてきた公式戦デビューを果たした神田は、わずか4分後に大仕事をやってのけた。
敵陣の右サイドで素早いプレスからボールを奪うと、そのままショートカウンターを発動させる。ドリブル突破から、ペナルティーエリアの手前でファーへ走り込んできた山田へパスを送った。しかし、球足が弱く山田には合わない。
それでも、逆サイドへ詰めてきたMF遠野大弥が必死に折り返す。ボールは相手選手との接触で倒れ込んでいた山田をかすめてファーサイドへ。突然訪れたチャンスにも慌てず、落ち着いて左足を合わせた神田を阻む相手選手は誰もいなかった。