■神田奏真「はい、見えていました!」
プロデビュー戦で初ゴールを決める離れ業を演じて8日後。自身をして「パスが弱い」とちょっぴり慌てさせたパスを、再び山田へのもとへ送った神田のもとへ、ACL初ゴールを決めた山田が笑顔で抱きつきながら声をかけた。
「見えていたの?」
視界に山田の姿をとらえていたのか、と聞かれた神田は即答した。
「はい、見えていました!」
意図が込められたパスだったとわかった山田は、さらに喜びを爆発させた。2人の間でかわされた短い会話のエンディングを、神田がうれしそうに明かした。
「ナイス、と言われました」
年代別の日本代表の常連で、今シーズンはU-19代表で活躍してきたホープ。そして、プロ2年目で19ゴールを量産する急成長を遂げ、J1得点ランキングで3位タイにつける新エース。最後に至高のホットラインを開通させた川崎は4勝2敗で4位に浮上し、新体制のもとで臨む来年2月11日の浦項スティーラーズ(韓国)との第7節で勝てば、決勝トーナメント進出を決められる状況を手繰り寄せた。
(取材・文/藤江直人)
(後編へつづく)