「このバトンを渡すのは泣くぜ!」J1広島の異例の背番号継承に感動広がる!「こんなん広島サボじゃなくてもグッとくるわ」「貰い泣き」などの声の画像
青山敏弘は自身の思いを素敵な形で後輩に託した 撮影:中地拓也

 J1のサンフレッチェ広島が、異例の背番号引き継ぎのセレモニーを行った。そのシーンの感動はクラブの枠を越え、サッカーファン全体に広がっている。

 2024年のJ1リーグも、残すところあと1試合となった。さまざまな勝負の佳境であるだけではなく、別れの季節が近づいていることも意味する。

 1つのチームが2シーズン続けてまったく同じメンバーで戦うことはまずあり得ないが、プレーを続けていれば、どこかで再会することはあるだろう。だが、引退してしまうと、もはやピッチ上での再会は叶わぬ夢となる。

 今季限りでスパイクを脱ぐレジェンドがいる。広島一筋で戦ってきた青山敏弘だ。

 高校を卒業した2004年に広島に加入。プロ入りから2年間は重傷を負うなどケガにも泣かされてリーグ戦への出場はなかったものの、3年目に一気に台頭した。

 その後は主力を張り続けて、リーグ戦3度の優勝にも大きく貢献。2015年にはリーグMVPにも選ばれ、2022年には広島でのJ1最多出場記録を更新した。まさに、広島のレジェンドだ。

 若手が力を示す広島において、今季はなかなか出場機会に恵まれなかった。38歳のボランチは10月、今季限りでの引退を発表した。

 前節まで、リーグ戦での出場は2試合だけだった。J1での今季3試合目の出場は、ホーム最終戦となった。3点をリードしていた後半37分に、川辺駿に代わってピッチに立ったのだ。多くの歓声に包まれてピッチに入り、1点追加しての5-1の勝利の喜びを仲間たちと分かち合った。

 試合後には引退のセレモニーが行われた。レジェンドのスピーチはスペシャルなものになった。多くの人が見守る中で、背番号の継承を発表したのだ。

 試合後も残る多くのファンの前で後継者に指名されたのは川辺だった。この日の試合で交代でピッチを行き来した2人の間で、背番号6が引き継がれることになる。

 指名を受けた川辺の目には、すでに涙があふれている。目頭を押さえながら向かった先で、青山から受け取ったユニフォームには、背番号6と「HAYAO」という名前がプリントされていた。

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