今季限りでの退任が決まっているJ1アビスパ福岡の長谷部茂利監督のホーム最終戦セレモニーでのスピーチがファンの感動を呼んだ。
神奈川県出身で現在53歳の長谷部氏は、現役引退後にヴィッセル神戸、ジェフ千葉でのコーチ、水戸ホーリーホックの監督を経て、2020年に当時J2だった福岡の監督に就任した。すると、1年目にJ1昇格を果たし、成績が不安定だったクラブをJ1に定着させ、昨季はルヴァンカップを制してクラブに初タイトルをもたらした。来季の契約延長オファーも受けたが、「5年の区切り」を強調して今季限りで退任することになった。
その長谷部監督が11月30日の浦和レッズ戦の試合終了後にマイクの前に立った。一礼してファンの歓声に応えた後、ゆっくりとした口調で語り始め、「私は(今季最終戦翌日の)12月9日から皆さんと一緒になります。アビスパサポーター、アビスパファン、その一員になります。よろしくお願いします」「体と仕事は違うところに行きますが、心、気持ちはここに、ベススタ、雁の巣に残っています。いつもみんなを見ています」などと温かいメッセージを送った。
さらにゴール裏のサポーターにも「皆さんに助けられました」と感謝した上で、過去の“事件”も持ち出しながら「選手を激励するのは良いですが、選手を怒ることはしないでください」と要望。全体のファンに向けてもスタジアムを満員にすることもリクエストするなど、クラブの現状と今後へ向けて“足りない部分”を、真摯に、愛情を込めて訴えた。