■この10年で「冬の風物詩」が激減

 明治神宮で初詣を済ませてから国立に回る人も多く、晴れ着姿の女性がスタンドを埋めるなど「冬の風物詩」としてニュース番組にも毎年取り上げられ、サッカーファン以外にもお馴染みとなった。NHK総合テレビで生放送されるため、ふだんサッカーを観戦する機会のない人たちも多く観戦することになった。

 また、毎年、日程が固定されていたため、どこのチームが勝ち残っても必ず観戦に訪れる「固定ファン」も多かった(逆に「元日だから行けない」という人もいたが……)。

 ところが、この10年ほど、元日以外の開催が増えてきていた。

 2014年度の第94回大会は、旧国立競技場の取り壊し工事が始まるため、12月13日に決勝戦が行われた。また、2018年度大会は翌年1月に日本代表がアラブ首長国連邦(UAE)で開かれるアジアカップに参加するため、12月9日に決勝が行われ、2022年には11月にカタール・ワールドカップがあったので、リーグ戦も天皇杯もそれまでに終わらせることになり、決勝戦は10月16日に行われ、2023年度もカタールでアジアカップがあったために前倒しとなり、決勝は12月9日だった。

 そして、今年は「代表チームの日程」といった特別な理由はなかったはずなのに、11月23日に決勝戦が行われた。なぜ元日開催ではなかったのか、説明はないままだ。

 

(2)へ続く
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