■宮代大聖「与えられた時間でどれだけ自分が結果を出せるか」

 宮代は今季、決意の移籍をしていた。川崎フロンターレには下部組織から所属し、プロ入り後はレンタル移籍で3チームに所属してきた。しかし、ヴィッセル神戸への移籍は退路を断っての完全移籍。大迫勇也、武藤嘉紀ら強力なタレントを前線に抱えるチームに身を置いていた。
 そんな2人について聞いた答えの中に、宮代が冷静に自身を捉える理由の一端があった。
「もちろんチーム内の競争もありますし、スタメンが確約されているわけでもないです。その中で与えられた時間でどれだけ自分が結果を出せるか、それがチームにとって非常にいい流れになっている。チーム内競争が激しくなることはすごいプラスだと思うので、そこは自分だけじゃなく、ヴィッセル神戸全員がそういう意識で戦っているのが今の強さの要因だと思います」
 激しいチーム内競争があるゆえに、少しも気を抜けない。そんな声が聞こえるようだった。
 宮代自身がその競争を活性化させ、リーグ2連覇を狙うチームの原動力となっているのだが、「優勝」の2文字はまだ手にしていない。神戸は現在、J1リーグの首位に立ってはいるが、残り2試合という状況でサンフレッチェ広島との勝点差は3。優位ではあるが、確定しているわけではないのだ。
 そして何より、優勝が決まるピッチに立てるかどうかは、そのチーム内競争に打ち勝たなければいけない。
 実際、この取材時に宮代は何度か「まだJリーグがある」と発言。リーグタイトルへの意欲を強く示していた。
 そんな言葉を聞いて思い出したのが、昨年の川崎フロンターレでの最後のリーグ戦後のことだった。宮代は、駅前不動産スタジアムのウォーミングアップゾーンでもリーグタイトルへの思いを語っていた――。
(取材・文/中地拓也)
(後編へつづく)

(2)へ続く
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