■「眠れる龍」が目を覚ます日は…
20世紀には東ヨーロッパの社会主義諸国でサッカーが強化された例もある。
たとえば、1950年代前半のハンガリーは国際試合で4年間も負けなしで、初めて敗れたのがスイス・ワールドカップ決勝の西ドイツ戦だった。1962年ワールドカップ・チリ大会ではチェコスロバキアは準優勝。1976年の欧州選手権(EURO)で優勝するまで、チェコスロバキアは世界の強豪の一角だった。そして、1970年代から80年代にかけてポーランドもワールドカップで2度、ベスト4入りを果たしている。
ヨーロッパの戦後政治史に詳しい方ならお気づきだろう。
こうした東ヨーロッパの国のサッカーが強くなったのは、いずれも各国の共産党が自由化路線を採用し、その結果、ソ連の軍事介入を招くことになった「自由化の時期」なのだ。
伝統や潜在力が高いだけに、将来、習近平体制が崩壊して自由化が実現したときには、“眠れる龍”と言われる中国サッカーが目を覚ます日が来るかもしれない。だが、それはまだまだ遠い将来のことだろう。