■森山佳郎監督が知る短期決戦の勝ち方
5連勝中の長崎は新設されたPEACE STADIUM Connected by SoftBank(通称ピースタ)で3試合を戦い、全て勝利している。しかも大分トリニータと鹿児島ユナイテッドに4−1、愛媛に5−2と大勝しており、3試合の得失点差は13得点4失点と圧倒的だ。
通常、新スタジアムではホームチームも環境に慣れていないので、完全なホームのアドバンテージを得るまで時間がかかるが、現在の長崎に限っては勢いと盛り上がりをそのままピッチ上のパワーに変えているように見られる。
見方を変えれば、仙台にとってアウェーの長崎戦は完全にチャレンジャーの立場となり、しかもシンプルに90分で勝つしかないという割り切りで臨めることをプラスに捉えたい。仙台もリーグ戦のラスト10試合は5勝2分3敗と、長崎ほどではないものの、悪くない流れで6位に滑り込んでおり、就任1年目の森山佳郎監督も、長く率いたU−17日本代表で短期決戦での勝ち方とマインドを熟知しているのは強みだ。
シンプルに整理された4ー4ー2をベースに、サイドアタッカーの郷家友太と相良竜之介が鋭くボールを運び、リーグ戦13得点の中島元彦が幅広くアクセントを作る。前線はブラジル人FWのエロンが中島と2トップを組むケースは多いが、経験豊富な中山仁斗が勝負どころで決定力を発揮してくるのは長崎にとっても不気味だろう。仙台は3月2日のアウェーゲームを2−1で勝利しており、その試合で決勝点をマークしたのが中山だった。
セカンドボールを起点に相良が左から上げたクロスボールを中山が、豪快なジャンピングボレーで叩き込んだ。長崎サイドとしては思い出したくもないシーンだろう。今回の試合も基本は長崎がボールを握り、愛媛戦で2得点など絶好調のFWマテウス・ジェズスを中心に、仙台のディフェンスを破っていきたい。おそらく右にマルコス・ギリェルメ、左に笠柳翼という3トップで行くと予想されるが、長期の怪我から復帰してきたスーパーストライカーのエジガル・ジュニオが、終盤のキーマンになる。