■「自分にもやれることがもっと、もっとあった」
1対1の局面を増やそうと、鹿島が前への圧力を強めてくるのはわかっていた。しかし、川崎には心の部分における準備が足りなかった。後半に盛り返し、一矢を報いるも1-3で敗れた試合後に、37歳の小林は努めて前を向いた。
「気持ちの部分で、球際を含めたバトルでまず負けていた。試合前のロッカールームでもが少なかったし、戦うんだ、という雰囲気をもっと作らなきゃいけなかった。それを誰がやるのか。年齢などには関係なく、チームを絶対に勝たせるんだ、といった気持ちをもった選手が多いチームほど強い。その意味でも声を出すとか、自分にもやれることがもっと、もっとあったと思っています」
2015年8月以来、ホームで9年ぶりに鹿島に黒星を喫し、さらに2010シーズン以来、14年ぶりとなるシーズンダブルも許した。鹿島との差は、勝利への執念と飢餓感をほとばしらせていたかどうか。悔しい思いを授業料に変える舞台は、AFCチャンピオンズリーグエリートを含めて、年内にあと7試合が残されている。
(取材・文/藤江直人)
(後編へつづく)