■秋葉体制の最大の収穫

 そうやって選手個々が1人1人の役割を遂行した結果、今季の乾貴士権田修一の両日本代表経験者に依存しないチームに変化したと見ていいのではないか。やはり2022~2023年にかけての彼らは両ベテランの双肩にかかる部分が大きかったが、今季は異なるバランスが見えてきた。
「俺への依存? してないです。今年、俺、全然良くないんで。航也がすごい引っ張ってくれてるし、他の選手もすごくいいし、途中から出てくる選手も活躍してくれている。今年はみんなに救われているし、俺に依存してるとかは全くないっすね」と乾もキッパリ話したが、チームの総合力アップというのが、秋葉監督2年目の最大の収穫なのだろう。
 ただ、J1昇格王手をかけてからの水戸ホーリーホックモンテディオ山形の2試合で足踏みし、昇格を決めた10月27日の栃木SC戦でも住吉ジェラニレショーンが先制弾を決めた後、北川が相手への報復行為で退場するなど、未成熟な部分も垣間見える。小さな綻びが致命的な失敗につながることを、J1とJ2の行き来を繰り返してきた清水の面々はよく分かっているはずだ。だからこそ、細部にこだわってしっかりと勝ちきれるチームを作っていく必要がある。まずはラスト2戦でJ2優勝の大目標を果たすこと。そこに集中すべきだ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)

(2)へ続く
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