■チームを大幅に強化した「ルーツ選手」探し
ただ、申台龍監督の手腕だけでは、このような急成長は可能にはならなかっただろう。背景には、サッカー好きとして知られてきたジョコ大統領(2期10年の任期を終えて今年10月20日に退任した)をはじめとする政府の大きなバックアップがあった。オランダを中心に欧州で活躍するインドネシア・ルーツの選手を探しだし、国籍を与えることで、ナショナルチームが大幅に強化されたからである。
インドネシア政府は2015年にサッカー協会(PSSI)の資格を停止。これが政府によるサッカー協会への干渉を排除する国際サッカー連盟(FIFA)規定に抵触し、FIFAはインドネシア協会に資格停止処分を下した。「政府の口出しをやめさせなければ、国際大会には出場できないぞ」ということで、協会というよりインドネシア政府に圧力をかける制裁だった。その結果、インドネシアは2018年のワールドカップ・ロシア大会のアジア予選から除外された。