■インドネシアを「急成長させた」スター選手

 インドネシアは現在、アジアで最も急成長しているチームである。「コロナ前」の2020年はじめには、FIFAランキングで173位と低迷していたが、わずか4年間で50近くの国を抜き、現在130位。今年はじめのアジアカップ(カタール)ではノックアウトステージに進出し、大きく注目を浴びた。さらに同じカタールで行われたU-23アジアカップ(兼オリンピック予選)では、準々決勝で2-2からPK戦11-10で韓国を倒し、韓国のオリンピック出場を9大会連続で途切れさせた。

 2019年12月、「コロナ禍直前」に就任したのが韓国人の申台龍(シン・テヨン)監督。現役時代の大半を当時韓国最強チームだった城南一和天馬で過ごし、攻撃的MFとしてKリーグで優勝6回。その間にリーグのベスト11に9回、MVPにも2回選出されているトップスター選手だった。もちろん、韓国代表としても活躍したが、残念ながらワールドカップ出場記録はない。

 2005年に引退して指導者となり、2017年から2018年にかけて韓国代表を率い、2018年ワールドカップ・ロシア大会では、ドイツに2-0で勝ったものの、グループ突破を逃した。そして1年半後、U-23代表監督と兼任する形でインドネシア代表監督に就任した。そして、ここからインドネシアの急成長が始まるのである。

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