■なぜ「優遇」されているのか

 以後のワールドカップでは、記者の入場券は試合の前日か当日のキックオフ3時間前までに試合の行われるスタジアムに設置された「スタジアム・メディアセンター」で受け取ることになり、また、入場券を割り当てられていながら連絡なく取材に現れなかった(「ノー・ショー」と呼ばれる)記者は、以後の試合で割り当てを受けられないなど、ペナルティが科されることになったため、記者席がガラガラになることはなくなった。それでも、「記者席が大きなスペースを使う」という事実は、現在まで変わることはないのである。

 試合の主催者は、なぜこれほど「記者」を優遇しているのか。それは、新聞や雑誌、今日ではインターネットなどによる報道が、大会の成功の大きなカギとなるという認識を持っているからに違いない。メディアの評価は大会の評価に直結する。メディアから批判ばかり出るようなら、大会のスポンサーが減り、テレビの視聴率も落ちて、放映権収入にも影響を与えるだろう…。

  1. 1
  2. 2
  3. 3