■三笘薫と中村敬斗の関係性
当然ながらファーにいた上田よりも先にボールに触ろうと、オーストラリア守備陣も慌てる。ボールはDFキャメロン・バージェスがとっさに伸ばした右足に当たり、コースを大きく変えてオーストラリアのゴールに突き刺さった。
「いつもは身体能力が高い選手が多いフランスリーグでプレーしているので、カウンターからトップスピードに乗った状態から、クロスを中へ入れていくプレーに関してはもう日常というか、自分が成長している理由だと思っています」
フランスで日々磨かれた感覚を森保ジャパンに還元できたと喜んだ中村は、出場12試合で8ゴールをあげながら、先発できない最終予選をこう振り返った。
「かなりレベルが高いし、そのなかで出場時間が短いのも理解していた。だからこそ、出場したときにはゴールにつながるプレーで存在感を出していくしかない、と」
中国との初戦では出番が訪れず、バーレーン戦とサウジアラビア戦では三笘に代わって、左ウイングバックでの途中出場だった。一転してオーストラリア戦ではシャドーの久保建英(レアル・ソシエダ)との交代で、70分からピッチに立った。
中村が任されたのは左ウイングバック。シャドーに回った三笘が言う。
「中村選手がシャドーのポジションに入ってもいいと思いましたけど、僕もちょっと疲労があったので。そこで彼が上下動して相手をはがして、数多くのチャンスが生まれていた。同点の場面では、相手をブロックした以外に僕は何もしていませんけど、少しは得点につながったのであれば、ちょっとうれしいですね」