■鬼木監督が残すもの

 タイトルに王手をかけていたとしても、決まっていた退任という道。結果的に敗退となったが、鬼木監督が話すように、その過程での“熱量”はチームに次の希望として残る。
「選手やスタッフを合わせると多分、20人ぐらい(川崎)1年目の人たちがいます。そういう人たちは、やっぱり期待をしてフロンターレに来てくれたと思っているので、彼らのそういう思いに結果として応えてあげられなかったことに対して本当に申し訳ないという話をしました。やっぱりフロンターレはこんなもんじゃないんだっていうところをねもっともっと見せたかった」
 そう話すが、タイトルへの気持ちの強さをきっと感じているはずだ。
 そしてそれをさらにこのチームに残すべく、「スポーツは、いつでも勝てるわけではない。でも、勝てなくてもやっぱり何かね、“残せる”“残していく”“次に繋がる2っていうものが必要だと思うので、そういうものは変わらず選手にも求めますし、自分自身もね、その思いが伝わるようなゲームをしたい」と残りのシーズンに向けて意気込む。
 間もなく幕を閉じる鬼木フロンターレ。悔しさも混じる26年の物語は、そして、鮮やかな8年間の物語はどのようなエンディングを迎えるか――。選手とサポーターが、その結末を笑顔に仕立て上げる。
(取材・文/中地拓也)

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