【川崎・鬼木達監督が退任で語ったこと(1)】ルヴァンカップ・新潟戦前の竹内強化部長との話し合い、退任決定で浮かび上がった一番の思い出、選手の反応など……笑顔で話した50分の画像
今年9月の蔚山市内での川崎フロンターレ・鬼木達監督。練習場を訪れると、「お、来ましたね」と笑顔を見せた瞬間 撮影:中地拓也

 予想していた空気感とは違って、穏やかな雰囲気と晴れ晴れとした笑顔だった。SNSのタイムラインとは違った時間が、そこには流れていた。

 10月16日、15時30分。中国ビザセンターのある東京・有明地区で、筆者はオンライン会見に参加していた。ACLE上海戦のためのメディアビアの取得が難航しており、この場所に足を運んだのは2度目。それでもビザを取得できず、15時の発表に合わせて周囲に誰もいないベンチに移動していた。
鬼木達監督 契約満了のお知らせ」と題されたクラブの発表には鬼木監督の言葉はなく、自ら口を開いて思いを伝えたいという気持ちを勝手に感じていた。だから、オンライン取材がある日の発表なのだろうと。
 その50分にわたる取材で、指揮官がまず口にした経緯説明は、「四半世紀いたクラブですので当然いろんな思いがありますけども、でも、監督を始めた瞬間からいつかクラブを離れるということは、監督を始めた瞬間から決意というか、当たり前のようにそこのところはありました。なので、それに関しては特に……。今年はね、成績も当然出てないですし、やっぱりこれだけ長くやってきた中でいうと責任を取れるのは自分しかいないっていうところもあります」というもの。最後の最後にも、鬼木監督の口から出てきたのは自分への矢印と、すべてを引き受けるという責任感だった。

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