■「シャンパンの町」で誕生した強豪クラブ

 そうした「歴史の町」は、近世には「シャンパンの町」として知られるようになる。シャンパーニュ地方は世界に冠たる発泡ワインの生産地で、その中心都市であるランスにはシャンパン醸造メーカーの多くが拠点を置いている。サッカークラブ「スタッド・ドゥ・ランス」は、1910年、そうしたシャンパンメーカーの「ポメリー&グレノ」のスポーツクラブとして誕生した。

 当初のユニフォームは金色のジャージと緑のパンツ。それはシャンパンボトル(緑のビンに金色のキャップカバーが巻いてある)を、そのまま表したものだった。ただ、この頃の「SSパルク・ポメリー」のメンバーは社員や周辺で働く労働者たちで、地域で活動するアマチュアクラブのひとつに過ぎなかった。

 しかし、1932年にフランスのトップリーグがプロ化されることになり、それに対応するため、「シャンパン会社のクラブ」は変革を迫られることになる。そして、公共的なクラブとして改組されたのが、「スタッド・ドゥ・ランス」だった。この名称は「ランスのスタジアム」を意味している。ただし、この町に第一級のスタジアムをつくることが決まるのは1932年、完成は1934年。クラブ名が変わって3年後のことだった。だがそれでも、このスタジアムが、「スタッド・ドゥ・ランス」をフランスの強豪に育て上げたのである。

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