■次節勝利で自力でのJ1昇格は確定するが

 後半開始とともに、秋葉監督が動く。カルリーニョス・ジュニオとルーカス・ブラガを下げ、FWドウグラス・タンキとMF松崎快を投入する。システムは4-2-3-1から4-4-2となる。この変更が、すぐに得点へ結びつく。47分、右SB原輝綺の縦パスを、ドウグラス・タンキがペナルティエリア内で相手DFと競り合いながら収める。走り込んだ北川へ横パスを通すと、背番号23が右足で冷静に蹴り込んだ。

 攻勢を強めていく清水は67分、MF乾貴士、MF宇野禅斗を下げ、MF矢島慎也、MF中村亮太朗を投入する。攻撃のギアを上げると、82分に矢島が右足のシュートをねじ込む。秋葉監督はアディショナルタイムに左SB山原怜音を下げてDF高木践を入れ、最後まで圧力をかけていったが、試合終了の笛は歓喜を呼ぶものではなかった。清水は2対2で引分けた。

 同時刻開催の試合で3位の長崎が勝利したため、この試合に勝っても清水のJ1昇格は決まらなかった。ただ、この日の戦いぶりは褒められたものではない。9月18日の徳島ヴォルティス戦、同22日の藤枝MYFC戦、同28日の横浜FC戦と、3試合連続で先制点を許していた。そして、この試合も前半に2失点である。J1昇格決定を目前にしながら、大きな課題を突きつけられている。

 このところ交代選手が結果を残しているのは好材料だが、ルーカス・ブラガがキレを失っており、先発復帰のカルリーニョス・ジュニオも本来のパフォーマンスではなかった。先発の入れ替えも、視野に入れるべきだろう。

 J2リーグはここから、2週間のブレイクに入る。清水は残り4試合のうち3試合がホームで、あと1勝すれば2位に以内を確保できる。

 ただ、秋葉監督と選手たちに求められるのは、内容を伴ったゲームだ。来シーズンへつながる戦いを、いまから見せていくことだ。J1昇格は、清水にとってゴールではない。

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