■「“まだできるんじゃない?”って言われながら辞める47歳」

 本間は水戸の歴史を誰よりも体感している選手。「悠だけでなく、大然とか涼太郎とか」と、日本代表としても活躍する前田大然伊藤涼太郎など、そのシュートを受け続けることによって、その能力を開花させてきた。そういう意味でいえば、水戸はJ1経験のない小さいクラブかもしれないが、日本サッカーを力強く支えてきたし、本間もその一人だ。
 だからこそ、水戸に誇りを持って、「小規模なクラブかもしれませんけど、もっとたくさんの人がスタジアムに来たいってメッセージや魅力を発信できるように大きくなってほしい」と期待を込める。
「僕が来たときは土のグラウンドでしたし、専用グラウンドもなかったですし、ないものばっかりだったんですけど、今までこのクラブでプレーしてきたOBはみんな情熱的でした。そういう人たちもだんだんクラブに帰ってきて、それはすごく嬉しいこと。そういう人たちがいるから、僕がいるし、クラブもある」
 それほどに思い入れのあるクラブだが、ホームゲームは残り1試合。11月3日のモンテディオ山形戦だけとなった。
 その試合への意気込みを聞けば、「いろんな思いが募ると思います。あと1試合しかホームでできない。しっかりと準備をして、“まだできるんじゃない?”って言われながら辞める47歳の、最高のパフォーマンスを見せたい」と笑顔を見せた。
「素敵な有終の美を飾ってください」
 最後、筆者の言葉にすっきりとした笑顔を見せながら、本間はミックスゾーンを立ち去った。外からの陽光と重なったその後ろ姿は、とてもまぶしかった。
(取材・文/中地拓也)

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