■昨シーズンから成長しているのか?
「超攻撃的」が、J1復帰に迫っている。
J2リーグは残り5試合となり、清水エスパルスは勝点72で首位に立っている。3位のV・ファーレン長崎は勝点60で、その差は「12」だ。清水が6日に行なわれるアウェイ・水戸ホーリーホック戦(ケーズデンキスタジアム水戸)に勝利し、長崎が同日の大分トリニータ戦で引分け以下に終わると(2試合は同時刻のキックオフ予定)、両チームの勝点差は「14」以上となる。
残り4試合での長崎の逆転は不可能となり、清水の2位以内=2シーズンぶりのJ1復帰が確定する。清水が引分け、長崎が敗戦のケースでも2位以内が決まるが、それは考えなくてもいいだろう(#1、2のうち2)。
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2023年、J1昇格プレーオフで東京Vに敗れ、クラブ史上初めて2シーズン連続でJ2を戦うこととなった清水。24年シーズンも引き続きエスパルスの指揮を執ることとなった秋葉忠宏監督は、生え抜きFWの北川航也をキャプテンに指名した。
同時に、ゼ・リカルド前監督のもとでは2列目のサイドで起用されることが多く、秋葉監督就任後もFWの序列でチアゴ・サンタナの後塵を拝していた彼を、4-2-3-1の1トップとしたのである。背番号をエースナンバーの「23」に変えた28歳の復活は、J1昇格に欠かせないものだ。
果たして、北川は2節にシーズン初得点を含む2ゴールをマークし、攻撃を力強く牽引していく。トップ下の乾貴士との縦関係はもちろん、2列目右サイドを担う新外国人ルーカス・ブラガ、2列目左サイドを担うカルリーニョス・ジュニオともスムーズな連携を構築し、J1基準と言って差し支えない攻撃のカルテットを担った。
チームは9節で首位に立つと、J1昇格レースを牽引する。順調な歩みのなかで、大きな課題となったのが「内弁慶」な戦いである。3節、7節、16節、18節、20節、21節と、負けた試合はすべてアウェイゲームなのだ。25節のベガルタ仙台とのアウェイゲームでも、1対2の苦杯をなめてしまう。消極的な戦いをしているわけではないのだが、敵地で結果がついてこない悪循環に陥った。
それでも、仙台戦後はホーム、アウェイを問わずに勝点を重ね、9月28日の33節横浜FCとの「国立決戦」でも1対1のドローへ持ち込む。勝点1差で首位をキープした。
横浜戦後、秋葉監督は昨シーズンからの変化を問われ、「間違いなく我慢強く、したたかに、勝負強くなってきたと思っている」と答えた。
「昨シーズンは正直に言うとメンタル的に少し弱く、もろい部分があって、自分たちから崩れるゲームが非常に多かった。今日のように先制されたなかでも追いつけたり、前節までは2試合連続で逆転勝ちできたりと、勝負強さはこの1年間ずっとテーマとして取り組んできている」
指揮官のコメントを記者から聞いた権田修一は、「だとしたら、今日は勝ち切りたかったですね」と切り出した。引分けでも首位を守ることができた、という心理的背景を踏まえつつも、経験豊富なGKはチームの戦いぶりに目を向けるのだ。
「僕たちが普段やっているプレーを出せたかって言ったら、やっぱそうじゃないと思うので。そこが、個人的にはすごく気になる部分で」