■選手交代的中で清水が同点に持ち込む

 ビハインドを背負った清水は、早く追いつきたい、追いつかなければ、という意識が強まる。前半は相手のすき間で巧みにボールを引き出していた乾が、前で受けようとする動きを増やしていく。中盤と前線の距離が、前半に比べて開いてしまう。

 ここで秋葉監督が動く。68分、北川、西澤、MF宇野禅斗を下げ、MF矢島慎也、DF北爪健吾、MF宮本航汰を投入する。

 この選手交代がズバリ的中した。74分、清水は同点に追いつく。

 右サイドから原が持ち出し、カルリーニョス・ジュニオへあずける。ボールはサポートした矢島へつながり、矢島はペナルティエリア内右でターンしてゴール前へクロスを入れる。このボールに走り込んだ原が反応すると、GKと交錯して残ったボールを宮本が押し込んだ。

 人もボールも動く、清水らしい得点だった。ここからさらにたたみかけたいが、横浜FCも交代カードを切って攻撃に変化をもたらそうとする。両チームの意地がぶつかり合った一戦は、1対1のドローで幕を閉じた。

 試合後の記者会見に臨んだ秋葉監督は、前半から失点するまでの戦いぶりが、自分たちらしくなかったという趣旨のコメントをした。

「最低限の勝点1はもぎ取りましたし、劣勢の状況から先制されたなかで、厚みのある攻撃で同点へ持ち込んだことは評価できる」としたうえで、「失点してからの攻撃や守備のスタイルを、スタートから出せるように。あれをやるからこそ勝つ確率が上がると思いますし、選手もチームも成長していく。あの獰猛な姿勢、前へいくんだ、ボールを奪いにいくんだ、ゴールへ向かっていくんだ、人を追い越すんだ、というのを、どういう状況でも出せるように」と話した。

 横浜FCとは勝点1を分け合うこととなったが、翌29日のゲームで3位のV・ファーレン長崎が敗れた。これを受けて首位の清水は勝点72、2位の横浜FCは勝点71、3位の長崎は勝点60のままとなった。残り5試合で長崎とは12勝点差となっており、次節の結果次第で清水のJ1昇格が決まることとなった。

 10月6日開催の次節は、水戸ホーリーホックとのアウェイゲームだ。昨シーズンの最終節と同じカードで、勝てば自力でのJ1昇格を決められる一戦を引分けで終えた、という苦い記憶を呼び覚ます一戦である。

 秋葉監督は3試合連続で先制されていることに触れ、チームの原点に立ち返ることを誓った。

「このところ先制点を取られている試合が続いていますので、まずは自分たちに矢印を向けて、もう一度どう先制点を奪うのか、奪えないなら奪わせない、というところに注力したい。我々らしくゲームのスタートから、超攻撃的に、超アグレッシブにいけるように準備をしたい」

 J1昇格を手繰り寄せるための一戦は、10月6日にキックオフされる。

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