【J2「天王山」】清水エスパルス、“人もボールも動くゴール”で横浜FCとドロー  次節にもJ1昇格決定に秋葉監督が語ったこと【戸塚啓のJ2のミカタ】(1)の画像
首位攻防の横浜FC戦、同点に追いついた清水エスパルス  撮影/中地拓也

■清水は手堅い試合運びで入り…

「超攻撃的」が、J1昇格へ近づいている。

 J2リーグ第33節が9月28、29日に開催され、首位の清水エスパルスは28日、2位の横浜FCと「J2天王山」に挑んだ。会場となった国立競技場には、J2歴代最多となる5万5千598人の大観衆が詰めかけた。

 清水はいつもの4-2-3-1のシステムを敷くが、守備時は2列目右サイドの西澤健太が下がって5バックのようになる。さらに左MFのルーカス・ブラガがダブルボランチの左へ、1トップの北川航也が右へポジションを下げ、最終ラインの前にも4枚のブロックを敷く。守備時は横浜FCの3-4-2-1のシステムとマッチアップするような形を取り、リスク管理を徹底して試合に入った。

 前半を0対0で折り返したのだから、このゲームプランは守備については悪くなかったと言えるかもしれない。横浜FCの四方田修平監督も、「思った以上に清水さんが堅く入られたというか、あまり前からガツガツ来なかったということで、背後への狙いが出せなかった。下がられたあとで自分たちの攻撃が、行き詰まる部分があった」と話している。清水は失点を覚悟するような場面を作らせることなく、前半を終えることができた。

 その一方で、攻撃の迫力を欠いた。攻撃のスタート地点が低くなる傾向があり、MF乾貴士を経由しないとなかなか前進できない。2列目の3人と1トップの北川が有機的に関わり、両SBの原輝綺山原怜音が飛び出していくいつもの迫力が、影をひそめてしまうのだ。

「右へケアへいっているぶん、前線へ入るのが遅れたところはあるし、そのなかでやらなければいけないのはあるんですけれど、普段やっているような形ではなかなかプレーできなかったかな、というのが終わってみての印象です」

 こう話したのは北川である。デザインしたCKから相手ゴールへ迫る場面はあったが、いつもの清水ではないのだ。

 後半も前半の流れのままに、試合が進んでいく。ただ、清水のブロック形成がやや遅れる場面が出てくる。53分には右サイドから侵入を許し、横浜FC・MF井上潮音にフィニッシュへ持ち込まれた。

 清水の秋葉忠宏監督も、危機を察知したのだろう。55分、MFルーカス・ブラガを下げてMFカルリーニョス・ジュニオを投入する。攻めることで圧力をかける狙いだが、背番号10の投入が試合に影響を及ぼす前に、スコアを動かされてしまうのだ。

 56分、相手のゴールキックから自陣まで侵入され、右サイドのクロスからFW高橋利樹にヘディングシュートを浴びる。これがバーを叩くと、跳ね返りをFWジョアン・パウロにプッシュされた。クロスを入れられたもっと前の局面から、プレスにいっているものの寄せきれない、相手選手の動きについていけない、という場面が連続しておこっていた。失点は必然だっただろう。

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