【J2天王山でドロー。悲願のJ1復帰に王手をかけた清水の今(2)】「去年の経験はトラウマ。今も危機感しかない」と原は慎重姿勢。最後まで油断や気の緩みを許さない清水の成長とはの画像
横浜FC戦で攻撃的な姿勢を見せた清水エスパルスの原輝綺 撮影:中地拓也

 9月28日の横浜FC戦を1-1で引き分け、首位をキープした清水エスパルス。昇格争いのライバルと目された3位・Vファーレン長崎が29日のファジアーノ岡山戦を0-1で落としたことで、清水は10月6日のアウェー・水戸ホーリーホック戦でJ1昇格を確定させられるところまでこぎつけた。

 次節に清水が勝って長崎が引き分け以下、あるいは清水が引き分けて長崎が連敗すれば、悲願の最高峰リーグ復帰が決まることになったのだ。

 いよいよカウントダウンという状況だが、彼らには「最後の最後まで気を抜いてはいけない」という共通認識がある。それもそのはず。1年でのJ1復帰を目指した昨季も、37試合終了時点で2位をキープしていたのに、最終節で水戸ホーリーホックに1-1で引き分け、4位に転落。J1昇格プレーオフに回ったものの、12月2日の東京ヴェルディとの決勝でロスタイムに被弾。つかみかけていたJ1切符を逃すという苦い経験をしているからだ。

「今日の試合前は(長崎と)11ポイント開いていましたけど、僕の中ではもう危機感しかない。悪い言い方をすれば、ビクビクしている部分もある。何も決まっていない状況だし、何かの間違いで一瞬でひっくり返るから。

 昨年のことはもうトラウマっすね(苦笑)。やっぱり追われる状況というのは難しいですし、昨年は自分たちの弱さが出たなと思いましたね」とヴェルディ戦に先発していた原輝綺もしみじみ語る。

「ただ、また同じような状況で2回目のチャレンジができることを有難いと思いますし、苦い過去を払拭できるチャンスでもある。個人としても、チームとしても、ビビらず、勘違いしないように、バランスを取りながらうまく戦いたいなと思います」と彼は10カ月前の昇格失敗を乗り越えようと前を向いている。その思いは他の選手たちも同じに違いない。

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