日本を超える「代表チームの70%が国内組」の現実、頼みは「アギーレを支える国民的英雄」の存在【元・日本代表監督が率いるワールドカップ開催国の「大問題」】(2)の画像
中国、バーレーンとの連戦で大活躍した久保建英。今回の主人公は、マジョルカ時代の彼のボスである。撮影/原悦生(Sony α‐1使用)

 現在、日本代表が予選を戦っている2026年のワールドカップ本大会は、アメリカ、カナダ、メキシコの3か国共催で行われる。サッカージャーナリスト大住良之は今回、そのうちのひとつ、メキシコの代表チームに注目した。2年後の本大会に向け、苦悩と挑戦が続いているホスト国の「知られざる現状」と日本との「意外な因縁」に迫った。

■アメリカでの「親善試合」で再出発

「第3期アギーレ政権」の最初の活動は9月、いずれもアメリカでの親善試合だった。カリフォルニア州のパサデナでニュージーランド(FIFAランキング94位)に3-0で快勝したものの、テキサス州のアーリントンでのカナダ戦は0-0で引き分けた。

 アギーレ監督はコパ・アメリカ代表26人のうち半数近くの12人を入れ替え、この2試合に臨んだ。といっても、9月7日のニュージーランド戦の先発11人のうち左サイドバックのヘスス・ガリャルド(トルーカ)を除く10人はすべてコパ・アメリカに出場した選手であり、ガリャルドもメキシコ代表100試合に迫ろうという30歳のベテラン選手。どちらかといえば「保守的」な布陣だった。

 試合は前半5に右MFロベルト・アルバラドが頭で折り返したボールをトップ下のMFオルベリン・ピネダが蹴り込んで先制。後半にセサル・ウエルタとルイス・ロモが追加して完勝と言っていい内容。しかし、暑さのせいかニュージーランドの守備が非常にゆるく、メキシコが特別良かったわけではなかった。

 中2日で行われたカナダ戦、アギーレ監督は先発6人を入れ替えて臨んだ。攻撃の主力であるFWサンティアゴ・ヒメネスとMFピネダは先発したものの、鋭さはなく、前半は相手に圧倒された。この試合で目立ったのはニュージーランド戦に交代出場して攻撃を活性化させた左ウイングのMFセサル・ウエルタ。後半に入ると変幻自在のドリブルでカナダの守備陣を混乱に陥れた。

 ウエルタは代表12試合目の23歳。非常に才能のある選手だが、国内リーグのUNAMでプレーしている。アギーレ監督が選んだ26人のうち、18人が国内リーグのプレーヤーであるというところに、アギーレ監督の苦悩がある。

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