劇的な決勝ゴールは、前半のアディショナルタイムに生まれた。
5月9日に行われたクロッキー・カップ決勝ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ対アントワープ戦。トロフィーが懸かった大一番で貴重な決勝弾を奪ったのは、センターバック(以降、CB)として先発した町田浩樹(27)だった。その決勝戦を含めた昨シーズンを、町田に振り返ってもらった。(インタビュー♯9)
■「セットプレーから得点できた」お祭り騒ぎに
右サイドのコーナーキック。味方が頭で落としたボールを、ゴール前に飛び込んだ町田が押し込んだ。得点後、ピッチを駆け回り、チームメートにもみくちゃにされる町田。守ってもアントワープを零封し、1−0の勝利でクラブを栄冠に導いた。決勝戦を、サムライ戦士は静かに振り返る。
「前半からアントワープがすごく引いてきた試合でした。
僕らは相手のカウンターが怖くて、なかなか前に行けなかった。点が取れない中で、セットプレーから得点できた。いい時間帯、いいタイミングだったと思います。
あの試合のように苦しい展開の中でセットプレーからゴールが取れると、チームを楽にできる。そういう意味でも良かったなと思っています」
試合後、サン=ジロワーズの選手たちは喜びを爆発させた。クラブにとって、タイトル獲得はなんと110年ぶりの快挙。カップ戦優勝はクラブ史上初めてのことだ。町田が「みんなで歴史を塗り替えた」との言葉通り、サンジロワーズの地元はお祭り騒ぎとなった。
クラブにも町田にも、喜びの中には安堵の気持ちがあったという。近年のサン=ジロワーズは、栄冠に手が届きそうなところで脱落し、直前のところでトロフィーがすり抜けていく悔しい思いをしてきたからだ。