■イボ語では「詐欺のないスポーツ」と翻訳
「フェアプレーfair play」という言葉は、すでに「世界語」と言っていい。日本では明治時代に「公道」という訳語もつくられたが定着せず、そのまま「外来語」としてカタカナで通用している。自国語に「直訳」して使う国も少なくないが、どんな国に行っても、「フェアプレー」と言えば意味が伝わる。ただ、その意味を考慮して翻訳に苦労が見える国もある。ナイジェリアの公用語のひとつである「イボ語」では、直訳すれば「詐欺のないスポーツ」と翻訳されているらしい。
「『フェアプレー』って、どんな色?」
いま、日本のサッカーファンに聞いたら、おそらく「100人のうち101人」が「黄色」と答えるに違いない。それほど「フェアプレー=黄色」が定着したのは、ブラッター考案のフェアプレー・マークに始まっている。日本代表の試合ではずっとFIFAのフェアプレー旗が使われていたし、Jリーグは独自のフェアプレー・マークや旗をつくったが、それも黄色だった。
だが、そもそも、「黄色」はフェアプレーそのものの色ではないのである。ブラッターがつくったマークは、アンフェアなプレーや行為に対して「処罰(1試合に2枚もらうと退場になる)」を示す「イエローカード」がモチーフになっている。すなわち、「イエローカードを受けないよう、フェアプレーをお願いします」と選手や指導者やファンに呼びかけるものだったのである。